プレーナー型トランスの特徴とメリット

主にサーバー用電源、大型産業機器、電気自動車用急速充電スタンド、溶接機、半導体製造装置など、出力電源量が大きい製品に対応するトランスは、トランスのサイズが大きくなります。しかし、プレーナー型トランスを用いることでトランスの小型化・低背化を実現できます。
プレーナー型トランスの概要
プレーナー型トランスは、高周波での使用やスペースが限られている場合に適したトランスです。数KW以上の高周波電源にプレーナー型トランスを使用することで、小型化・低背化、高効率・低損失、高放熱を実現しています。
主にサーバー用電源、大型産業機器、電気自動車用急速充電スタンド、溶接機、半導体製造装置など、出力電源量が大きい製品に多く使用されています。
プレーナー型トランスの仕組みや構造
プレーナー型トランスの基本的な仕組みは、その他のトランスと同じですが、構造はその他のトランスとは大きく異なります。その他のトランスが丸い銅線を巻きつけたコアを持つのに対し、プレーナー型トランスは基板コイル、薄板(銅板)、コア、絶縁テープなどの部品で構成されています。この構造により、銅板の表面積が大きくなるため、同じ電流に対応するその他のトランスと比較して、トランス全体の厚みや大きさを抑えることが可能です。
プレーナー型トランスの特徴
特長①:大電流に対応
プレーナー型トランスは、100アンペア以上の大電流を流す電源に対応しています。効率的な構造設計により、高出力の電力変換が可能であり、大電力を必要とするサーバー用電源、大型産業機器、電気自動車用急速充電スタンド等のトランスとしても適しています。
特長②:電源の小型化・低背化を実現
プレーナー型トランスの大きな特徴の一つがトランスの小型化・低背化です。プレーナー型トランスは、巻線を銅板にすることにより、銅板の表面積が大きくなるため、同じ電流に対応するその他のトランスと比較して、トランス全体の厚みや大きさを抑えることが可能です。
特長③:放熱性が高い
トランスにおける1つの課題として、発熱が挙げられます。プレーナー型トランスは、低背かつ薄型のため、ヒートシンクの接地面積が広く放熱性に優れています。例えば、放熱性を上げるために強制空冷などの手段がとられるケースもあります。
ただし、強制空冷を行えば、製品内に寿命の短いファンを組み込む必要があり、総合的に鑑みると製品寿命が短くなる恐れがあります。その点、電源仕様によっては、プレーナー型トランスを用いることで強制空冷などを不要とすることも可能です。
プレーナー型トランスの設計・製造実績をご紹介
電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、プレーナー型トランスの開発実績が豊富にございます。ここでは、その一部をご紹介いたします。
こちらは、急速充電スタンド向けの大容量プレーナー型トランスの開発事例です。スペースが限られている急速充電スタンドに適合するよう、プレーナー型トランスを活用することで、小型化と低背化を実現しました。さらに、プレーナー型の特性を活かし、高効率かつ低損失を実現しています。
まとめ
プレーナー型トランスは、従来型トランスと比較して低背化や大容量対応などの特長を持ち、設計の柔軟性や効率の向上など多くのメリットがあります。これにより、電子機器の高効率化・小型化を実現します。
電源開発・設計ソリューションNaviを運営するペックでは、トランスの高効率かつ小型化の実績が豊富にございます。当社のノウハウをフル活用し、皆様のトランスに関するお困りごとを解決いたしますので、トランス設計のことならお気軽にご連絡ください。
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