カスタム電源・標準電源の違い
皆様は、カスタム電源と標準電源の違いについて、詳しくご存知ですか。「なんとなくイメージはついている…」という方は多いと思いますが、意外と知らない部分もあるのではないでしょうか。そこで、当記事ではカスタム電源と標準電源の違いについて詳しく解説します。是非最後までご覧ください。
標準電源とは?
まず、標準電源とは何であるか確認してみましょう。標準電源とは、電源メーカーにより既製品ラインナップとして開発・製造が行われている電源を指します。標準電源は、電源メーカーにより大量生産されており、カタログ販売されているため、価格が安価であることが最大の特長です。一般的に、「電源開発コストをかけたくない…」「電源単価を抑制したい…」という場合、装置・機器に沿った電源をこの標準電源ラインナップの中から選定します。
カスタム電源とは?
一方、カスタム電源とは、標準電源と全く異なり、要望に沿って開発した特注電源のことを指します。カスタム電源はどうしても、ご要望に沿ったオーダーメイドの電源であるため、多品種少量生産となり、開発コストがかかり、比較的高価になる傾向があります。しかしながら、カスタム電源を活用することで、標準電源では実現できないサイズ、形状、寿命、電気的特性、その他スペックを実現することができるのです。
カスタム電源と標準電源の違い
ここまでで、標準電源とカスタム電源の違いについてお分かりいただけたと思います。では、さらに深ぼって違いを明確化していきましょう。下図にて比較していますので、ご確認ください。
項目 | カスタム電源 | 標準電源 |
電源単価 | 比較的、高価(※仕様により異なる) | 比較的、安価 |
開発コスト | コストがかかる | コストは不要 |
生産ロット | 小ロットから対応可 | 大ロット(※メーカーにより異なる) |
納期 | 個別調整にて対応可 | 即納可能(※メーカーにより異なる) |
サイズ | 任意設定 | 固定 |
形状 | 任意設定 | 固定 |
インターフェース | 任意設定 | 固定 |
入力源 | 任意設定 | AC or DCのみ |
出力 | 任意設定 | 電圧/電流固定 |
寿命 | 10年以上など長寿命対応可 | 一般的に、約5年(※電源により異なる) |
オーバーホール修理 | 対応可能 | 対応不可 |
カスタム電源の開発実績
電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、これまで幅広いカスタム電源の開発・設計を承ってまいりました。そんな当社のカスタム電源の開発実績を一部ご紹介します。
事例①:暖房機器用オンボード電源
こちらは、海外電源メーカーの標準ACアダプタの中身(オンボード)を使用したオンボード電源です。
事例②:鉄道車両用空気清浄ユニット電源
こちらは、鉄道車両内で利用されるデバイス搭載型空気清浄機NANOEの電源ユニット開発事例です。
カスタム電源の開発・設計のことなら、電源開発・設計ソリューションにお任せください!
いかがでしたでしょうか。今回は、カスタム電源と標準電源の違いをご紹介しました。電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、小ロットからカスタム電源の開発・設計を承っております。さらには、開発・設計のみならず、製造・評価まで一貫対応しており、これまで幅広いお客様のご要望を実現してまいりました。カスタム電源開発・設計に関するご依頼がございましたら、お気軽にご相談ください。
関連する豆知識
-
安全性・信頼性を考慮したカスタム電源設計の勘所
民生用の電源とは異なり、インフラをはじめとする産業分野で使用されるスイッチング電源は、高い機能性だけでなく、確かな安全性と信頼性が厳しく要求されます。そこで、当記事では、産業用途のカスタム電源における... -
電源設計の基礎:スイッチング電源の回路方式
スイッチング電源とは、電力を効率的に変換するための電源装置です。その名の通り、高速でオン・オフを繰り返すスイッチ(トランジスタやMOSFETなど)を用いて電力を変換するため、「スイッチング方式」と呼ば... -
セミカスタム電源で開発費用・納期短縮を実現
セミカスタム電源とは? セミカスタム電源とは、標準電源に周辺回路を追加するなどして仕様や特性を変更した電源のことを指します。このセミカスタム電源は、「標準電源では求める機能を満たせないが、カスタム電源... -
ゲート抵抗によるスイッチングノイズ対策
電源におけるスイッチングノイズは、多かれ少なかれ、必ず発生するものです。基本的にはスイッチング周波数が高ければ高いほどノイズが出やすく、低いほどノイズは小さくなる傾向にあります。ただし、スイッチング電... -
トランスへのシールド追加によるスイッチングノイズ対策
電源におけるスイッチングノイズは、多かれ少なかれ、必ず発生するものです。基本的にはスイッチング周波数が高ければ高いほどノイズが出やすく、低いほどノイズは小さくなる傾向にあります。ただし、スイッチング電... -
パワーラインを考慮した配線によるスイッチングノイズ対策
1次側、平滑用電解コンデンサからトランス➨FET➨平滑用電解コンデンサへと流れるスイッチング電流ラインについては、ピーク電流の値に合わせ1A辺り1㎜幅のパターンで配線を行います。電源においては、アナロ...
一覧はこちら