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電源設計の豆知識

昇降圧回路(チョッパー)方式における主要部品の選定方法

昇降圧回路(チョッパー方式)とは、入力電圧範囲に対して出力電圧が、その間にあるものとなります。
例として入力電圧範囲が、DC8V~DC26Vで出力電圧がDC15Vなどです。

入力の低い時、DC8V~DC13Vでは、昇圧回路(チョッパー方式)として動作しています。逆に入力の高い時、DC17V~DC26Vでは、降圧回路(チョッパー方式)として動作しています。その中間電位であるDC13V~DC17V入力範囲では、昇降圧回路(チョッパー方式)として動作しています。この各電圧ごとでの動作の切り替わりに関しては、制御用ICによりコントロールされますので、使用するICのアプリケーションノートにて確認して下さい。

具体的な回路例は、次のとおりとなります。青の部分が降圧回路構成となっており、赤の部分が昇圧回路構成となっています。これらを制御用ICでコントロールする事で昇降圧回路が成り立っています。但し、昇圧動作時に降圧部分(青色部分)のスイッチ素子がOFFモードとなると入力が途絶えるため、昇圧モード時には、降圧部分(青色部分)のスイッチ素子は、常にONした状態となります。

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単純にダイオード部分をスイッチ素子に置き換えたのが同期整流Typeとなります。上記同様、昇圧動作時に降圧部分(青色部分)の上側のスイッチ素子は、常にONした状態となります。また、降圧動作時は、昇圧部分(赤色部分)の上側のスイッチ素子が、常にONした状態となります。

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動作は、青が降圧動作時、赤が昇圧動作になります。昇降圧は、入出力の電位差が少なくなるある期間のみが昇降圧動作モードで動いており、入出力の電位差がある一定以上あると降圧動作または、昇圧動作にて動作する事となり、それらを制御用ICにてコントロールしています。

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トランジスタ/FETの選定

耐圧電圧について

降圧回路部のSW1の耐電圧の考え方は、降圧回路の考え方に基づいて算出を行います。昇圧回路部分のSW2の耐電圧については、最大入力時にSW1が破損した際にSW2にその電圧が印加され場合によっては、SW2も破損に繋がり、大きな電流が回路内に流れる事により、焼損などの大きな問題に発展する可能性があることからSW2の耐電圧については、SW1の耐電圧と同レベルにすることをお薦めします。

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電流値について

昇圧回路動作時のILpと降圧動作時のILpを算出した時、昇圧回路動作時のILpの時の電流の方が大きくなります。昇圧動作時、降圧用スイッチ素子(SW1)は、導通しておく必要があります。そのため、降圧用スイッチ素子(SW1)にも同様の電流が流れる事になりますので電流に関しては、SW2側のILpの値より、SW1、SW2共、選定することをお薦めします。

損失(温度上昇)について

耐電圧/電流よりスイッチング素子(FETやトランジスタ)を決定するのですが、忘れてはいけないが、スイッチング時の損失になります。FETの場合でしたらオン抵抗(Ron)の値となります。トランジスタであればVceサチュレーション電圧の値となり、スイッチング電流との積にON Duty比を掛けることで、損失が求まります。損失を考慮して選定を行います。ここをメインに考えると、電流値に対しては、非常にマージンが取れる結果になります。

ダイオードの選定(ダイオードまたは、同期整流用スイッチ素子)

耐圧電圧について

降圧回路部/昇圧回路の算出と同様になります。①トランジスタ/FETの選定で説明したようにSW1が破損に至った場合の事を考慮すると結果、ダイオードまたは、同期整流用スイッチ素子の耐電圧もSW1の耐電圧と同レベルにすることをお薦めします。

電流値について

電流については、コイル電流のピークILpと同様なため、その値を使用します。スイッチ素子同様に結果、SW2側のILpの値にて、SW1、SW2共、選定することをお薦めします。

損失について

基本的な考え方は、昇圧回路と同様です。ダイオード部分を同期整流用スイッチ素子に置き換える場合、スイッチ素子の損失の考え方を当てはめて選定する事になります。

コイルの選定

インダクタンス値について

インダクタンスに関しては、昇圧回路/降圧回路それぞれにおいて算出。インダクタンス値は、計算結果より大きい値の物を選択となっている事から、大きい方を基準に考えます。また、使用する制御用ICのアプリケーションノートにインダクタンス値の算出手順が掲載されている場合は、その手順に合わせて算出を行って下さい。

電流値について

スイッチ素子の電流を求める際にコイル電流値の算出していますので、その値 ILp を持ってきます。

損失(温度上昇)について

コイルの場合、カタログにインダクタンス値、定格電流の他に、その部品が、40℃温度上昇する時の電流値が記載されています。(※メーカーによって温度上昇値は、変わってくるのでカタログを注意して見て下さい。)定格電流値でコイルを選定するのではなく、その温度上昇時に流せる電流値で選定する事をお勧めします。

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いかがでしたでしょうか。今回は、昇降圧回路(チョッパー)方式における主要部品の選定方法をご紹介しました。電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、小ロットからカスタム電源の開発・設計を承っております。さらには、開発・設計のみならず、製造・評価まで一貫対応しており、これまで幅広いお客様のご要望を実現してまいりました。カスタム電源開発・設計に関するご依頼がございましたら、お気軽にご相談ください。

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