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トランス・コイル設計の豆知識

スイッチング電源のトランス設計における損失とは

スイッチング電源を低ノイズで高効率かつ小型化するためには、トランスの損失を考慮した設計が重要です。
トランスは複数の部品で構成されており、発生する損失(ロス)は多岐にわたります。
そこで、本記事では、トランスにおける各種損失の種類についてご紹介いたします。

トランスの損失の種類

鉄損

ヒステリシス損

ヒステリシス損は、鉄心の磁化・消磁を繰り返す過程でエネルギーが失われる現象です。
磁場の変化に伴ってコア材質内で発生する摩擦のようなもので、これが熱となることで損失に繋がります。
特に、トランスが高周波で動作する場合に増加します。

渦電流損

磁界の変化により、鉄心内部に渦状の電流が発生することでエネルギーが熱として失われる現象です。
渦電流損は、鉄心の導電性やコアの厚みが関係します。
渦電流損を低減するために、トランスのコアは薄い鉄板を積層して作られ、電気抵抗を高めることで渦電流の発生を抑制しています。

銅損

直流抵抗損

直流抵抗損は、巻線の直流抵抗によって発生する損失で、巻線に電流が流れると、その電流と巻線の抵抗に応じて発熱が生じます。
この損失は、ジュールの法則に従い、以下のように表されます。
P=I²R
ここでは、Iは電流、Rは巻線の抵抗を表します。直流抵抗損は負荷電流に比例し、電流が大きくなるほど損失も増加するため、
巻線の長さや断面積、使用される導体の材質に影響されます。

表皮効果損

表皮効果損は、交流(AC)電流が高周波になると、導体の表面付近に電流が集中することで発生する損失です。
この現象により、電流が導体全体に均等に流れず、有効断面積が減少し、結果として交流抵抗が増加することで、
巻き線の抵抗が増加し、損失が大きくなります。

漏れ磁束効果損

漏れ磁束効果損は、トランスの巻線間で磁束が完全に結合しない部分(漏れ磁束)が存在し、
その漏れた磁束が巻線に影響を与えることで発生する損失です。
トランスの漏れ磁束から余計な電流が発生し、それに伴って電圧も発生することで損失が発生します。

巻線ループ損

巻線ループ損は、巻線の特定の部分で導体内にループ電流が形成されることによって発生する損失です。
これは複数ある巻線の中で、長さが異なる巻線の抵抗値が変わることで、一部の巻線に電流が集中することにより、損失が増え、発熱に繋がります。
特に大きな巻線を持つトランスや、複数の巻線が密接して配置されている場合に、この損失が問題となります。

トランスの損失改善のポイント

トランスの損失は、コア材の選定や巻線の巻き方によって大きく変動します。
下図のように、トランスは鉄損と銅損が等しいときに効率を最大化することで、損失を最小化することが可能なため、
設計段階で鉄損と銅損のバランスを取ることが非常に重要になります。

スイッチング電源のトランス設計における損失とは | 電源開発・設計ソリューション

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はトランスの損失の種類について解説いたしました。
電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、トランスの高効率化・小型化の多くの実績がございます。
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