短納期で実現するカスタム電源開発の手法
製品性能を最大限に引き出すには、仕様に合ったカスタム電源が欠かせません。しかし「カスタム」と聞くと、長い開発期間や高額なコストを思い浮かべてしまう方も多いのではないでしょうか。特に市場投入までのスピードが競争力を左右する現代では、開発の遅れがそのままビジネスの機会損失につながります。
では、短期間でカスタム電源を開発するにはどうすればいいのか?
ここでは、開発期間を短縮するための3つの設計手法をご紹介します。
手法①:セミカスタムで開発期間を短縮
セミカスタム電源は、既存の標準電源やベース基板を活用し、必要な部分だけをカスタマイズする方式です。これにより、開発費用を約50〜80%削減でき、量産時の単価もフルカスタムより大幅に低減します。さらに、安全規格(PSE、UL、IECなど)やEMI/EMC認証を取得済みのベースモデルを利用するため、認証取得にかかる時間とリスクを大きく減らせます。
結果として、通常8か月かかる開発期間を約4か月に短縮でき、部品調達や製造、評価までの各工程を迅速に進められます。
自由度ではフルカスタムに劣るものの、納期・コスト重視や短期間での認証取得が求められる案件に最適なアプローチです。
手法②: 既存回路ブロックの再利用で設計を短縮
短納期でカスタム電源を実現するためには、既存の回路ブロックをベースにした設計手法も有効です。まず、必要な出力W数を基に回路方式を決定し、それに合致する既存の回路ブロックを当てはめます。この方法では、電源開発メーカーが部品の共通化を図れるため、調達コストや製品単価の低減にもつながります。
一方で、使用するICなどの主要部品は既存設計に依存するため、自由な部品選定が難しく、高度な要求仕様には対応しづらい場合があります。ですが、このアプローチは設計・試作・検証の期間を大幅に短縮でき、短納期での製品化を求められるプロジェクトには有効な手段となります。
手法③: 二次側のみのカスタマイズでリスク最小化
標準電源の一次側をそのまま流用し、二次側(出力部)のみを新たに開発する手法も、カスタム電源を短納期で開発するうえで有効です。
電源は大きく一次側(AC→DC変換)と二次側(電圧・電流調整)に分かれます。
一次側は安全規格やEMI/EMCの認証取得が最も難しく時間もかかりますが、この部分を標準品でまかなえば認証リスクはほぼゼロになります。
二次側の出力電圧や電流、保護機能、コネクタ仕様など必要な部分だけを設計すればよいので、開発範囲を最小限に抑えることができ、短納期での開発へ有効な手法になります。
当社の電源開発・設計事例
こちらは、小型印刷機器用電源ユニットの設計・開発事例です。この事例では、プリンターが印刷時にピーク時には9Aの電流が必要とされました。従来、設計・製造を行っていた電源ユニットの小型版のご依頼であったため、設計段階から再度見直しをかけ、小型化を実現しました。
カスタム電源の開発・設計のことなら、電源開発・設計ソリューションにお任せください!
今回は、「短納期で実現するカスタム電源開発の手法」についてご紹介いたしました。 電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、カスタム電源の小ロットからの開発・設計はもちろん、製造から評価に至るまで一貫対応しております。これまでの豊富な実績を基に、お客様一人ひとりのご要望に最適な電源をご提案いたしますので、カスタム電源をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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