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トランス・コイル設計の豆知識

トランスのノイズ対策のポイント

スイッチング電源におけるノイズ対策は機器の性能維持や誤作動防止などのために、設計段階から考慮すべき点です。本記事では、スイッチング電源におけるトランスに焦点を当て、ノイズ対策のポイントについてご紹介します。

スイッチングトランスによるノイズへの影響

ご存知の通り、スイッチング電源のノイズを抑制する主な策は、回路・基板設計の最適化です。しかしながら、高品質な電源開発を進めるためには、トランスによるノイズ対策も重要なポイントとなります。

スイッチングトランスにおけるノイズ対策の手法

以下に、具体的なノイズ対策についてご紹介します。

一次側・二次側の結合度UPによる漏れインダクタンスの低減する

漏れインダクタンスとは、一次側と二次側の巻線間で磁束が完全に結合しないことで生じるインダクタンス成分です。この成分はスイッチング時の過渡電圧やノイズの原因となり、波形の歪みや効率低下を引き起こすため、ノイズ対策のためには漏れインダクタンスを可能な限り低減する必要があります。

この漏れインダクタンスを低減するためには、トランスの一次側と二次側の結合度を高めることが有効です。例えば一次巻線と二次巻線のどちらかを挟み込む手法(サンドイッチ巻き)や、同一層に近接配置する手法(バイファイラ巻き)が有効です。これにより、漏れ磁束を抑制し、効率とノイズ抑制の両立が可能となります。

(ただし、LLC共振回路等は、漏れインダクタンスがノイズ増幅を引き起こすことはありません。)

センターギャップとし、コアから発生する輻射ノイズを抑制する

輻射ノイズは、電磁波として空間中に放出されるノイズです。トランスのコアは磁界を発生させていますが、この磁界の一部が空間中に漏れ出し、ノイズとして周囲に影響を与えます。原因として、トランスのコアには、磁気飽和を防ぐために意図的にギャップが設けられています。このギャップ部分から、磁束が外部に漏れやすいため、輻射ノイズの発生に繋がります。

この輻射ノイズは、コアのギャップの形状等でノイズを低減することができますが、コアとコアの間にスペーサーを挟むスペーサーギャップの場合、両サイドのギャップ部分から外部に磁束が漏れることでノイズの発生につながります。

そのため、輻射ノイズ対策としてセンターギャップが有効です。センターギャップは、コアの中心部分を削ってギャップを設けるタイプであり、ギャップがコア内部にしかないため、磁束の漏れが抑えられ、スペーサーギャップに比べてノイズを低減できます。

ショートリングを活用した磁束の漏れの抑制

コアのギャップからのノイズ対策の手法として、コアの周りにショートリングをつける方法が挙げられます。これはコアのギャップ面に銅板を巻きつけることにより、コアのギャップから発生する磁束を銅板が吸収することで磁束の漏れを抑制し、ノイズの発生を低減することができます。

トランスの設計・製造は電源開発設計ソリューションにお任せください

いかがでしたでしょうか。今回はトランスのノイズ対策についてご紹介しました。電源開発設計ソリューションを運営するペック株式会社では、お客様の使用に適したトランスの設計・製造を承ります。お困りの方はお気軽にご相談ください。

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