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電源設計の豆知識

安全性・信頼性を考慮したカスタム電源設計の勘所

民生用の電源とは異なり、インフラをはじめとする産業分野で使用されるスイッチング電源は、高い機能性だけでなく、確かな安全性と信頼性が厳しく要求されます。そこで、当記事では、産業用途のカスタム電源における安全性・信頼性を考慮したカスタム電源設計の勘所をご紹介します。

ポイント①:部品ディレーティングを意識した部品選定をする

部品ディレーティングとは、部品の定格を余裕を持って使用することを意味します。これにより、部品がダメージを受けにくくなり、長寿命化や信頼性向上が期待できます。例えば、コンデンサやトランジスタなどの電子部品は、電圧や温度に対して余裕を持たせることで、過負荷による故障を防ぐことができます。

基本的には、部品定格の80%で使用するように選定することが重要です。あくまで一例ですが、仮にピークの電圧が400Vの場合、耐電圧500Vの部品の選定を推奨します。(※用途・要求に応じて、ディレーティングを設定するよう注意してください。)ただし、抵抗などは仕様用途や、使用電力により選定方法が異なるので、注意が必要です。

ポイント②:基板の沿面距離、部品の空間距離を考慮する

電源回路の安全性を確保するためには、基板上の沿面距離と部品間の空間距離が重要です。沿面距離は、基板上で電流が流れる可能性のある2点間の最短距離であり、空間距離は空気中の最短距離を指します。これらの距離が不足すると、絶縁破壊やショートが発生し、重大な故障につながる可能性があります。

また、安全規格や製品の使用電圧に基づいて、適切な距離を確保することが設計段階で求められます。また、基板の汚れ(粉塵等)や湿気などの環境要因も影響を与えるため、実際の使用環境を考慮した設計が必要です。

ポイント③:主要部品のオープンショート試験を実施する

オープンショート試験は、主要部品がショートした際の影響を確認するための試験です。この試験を実施することで、異常事態が発生した場合において、安全にユニットが動作停止するかの確認を行います。

例えば、パワートランジスタや制御ICが故障した場合に、発煙や発火などの影響が発生しないか確認の上、結果に応じて適切な対策をとる(必要な保護回路を設ける等)ことが重要です。オープンショート試験は、フェイルセーフ設計の一環として欠かせません。

ポイント④:静電気試験/サージ電圧(過電圧)試験を行う

静電気やサージ電圧は、電源回路に予期せぬダメージを与える可能性が高い要素です。特に、静電気放電(ESD)やサージ電圧は瞬時に高い電圧が発生し、部品の破壊や回路の誤動作を引き起こします。

これを防ぐために、設計段階で静電気試験やサージ試験を実施し、対策を講じることが必要です。具体的には、適切な保護回路の導入や、基板上でのグランド設計の工夫が有効です。

ポイント⑤:雑音端子(EMI)不要輻射を抑制する

雑音端子(EMI)は、電源設計において避けて通れない問題です。電源回路は動作時に不要な電磁波を発生させ、他の電子機器に干渉を与える可能性があります。特に、規格で定められたEMI基準を満たすことは、製品化に向けた重要なステップです。

EMIの抑制には、フィルタ回路の導入や、シールド処理、配線の工夫が効果的です。また、PCBのレイアウトもEMIに大きな影響を与えるため、慎重に設計を行う必要があります。

ポイント⑥:使用される温度範囲での温度特性試験を行う

電源回路は、温度によってその特性が大きく変化します。特に、過酷な環境下で使用される場合には、動作温度範囲を考慮した設計が不可欠です。温度試験を実施することで、各部品や回路が仕様範囲内で正常に動作するかを確認し、信頼性を向上させることができます。

温度特性試験では、高温環境および低温環境での動作確認を行い、部品の劣化や特性変動がユニットに与える影響を評価します。これにより、長期間の使用でも安定した動作が期待できるカスタム電源設計を実現できます。

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いかがでしたでしょうか。今回は、安全性・信頼性を考慮したカスタム電源設計の勘所をご紹介しました。電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、小ロットからカスタム電源の開発・設計を承っております。さらには、開発・設計のみならず、製造・評価まで一貫対応しており、これまで幅広いお客様のご要望を実現してまいりました。カスタム電源開発・設計に関するご依頼がございましたら、お気軽にご相談ください。

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