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トランス・コイル設計の豆知識

トランス・コイルの開発・設計の流れ

電源基板を設計・製造する上で欠かせないトランス・コイルの開発・設計には、多くのステップがあり、トランス・コイルの種類や容量に合わせて開発・設計を行う必要があります。今回は、トランス・コイルの開発・設計の流れについて解説します。

トランス・コイル開発・設計の流れ①:仕様の明確化

トランスの開発・設計を行うにあたって、まず始めに、開発・設計するトランス・コイルの入力電圧・出力電圧・出力電流・効率・周波数・デューティー及び、安全規格に関する沿面距離や耐電圧等の項目を明確にする必要があります。これらの仕様を明確にすることから、トランス・コイルの開発・設計がスタートします。仕様が明確で無ければ、開発・設計を行うことができないため、仕様の明確化はトランス・コイルの開発・設計において最重要なポイントであると言えます。

トランス・コイル開発・設計の流れ②:コアとボビンのサイズの選定

トランス・コイルの仕様が明確になれば、次にコアとボビンのサイズの選定を行う必要があります。コアとボビンのサイズの選定は、トランスの性能に直接関係し、蓄えることができる電力の大きさや使用する線材の太さに大きく左右されます。
大型のコアやボビンを使用するとその分、蓄えられる電力が大きくなるため、太い線材を使用することが可能となります。しかし、太い線材を使用し、回路設計が大きくなる分トランスも大きくなってしまいます。そのため、電源の高さ・電源基板の表面積・電源の大きさと電源のスペック及び、沿面距離等を考慮した上でコアとボビンのサイズの選定が必要となります。

トランス・コイル開発・設計の流れ③:コイルの必要な巻き数と線径の選定

コアとボビンのサイズが決まれば、次にコイルの必要な巻き数と線径の選定を行う必要があります。
コイルの巻き数と線径は、トランスの効率や、耐えうる電流量に直接関係します。仕様の入力電圧と出力電圧の比率に合わせて、1次側(入力側)と2次側(出力側)のコイルの巻き数比を計算するなどといった電磁気学的な計算が必要となります。

トランス・コイル開発・設計の流れ④:安全規格、耐圧の基準により内部構造決める

必要な巻き数と線径の計算を行い、選定を行った後、安全規格、耐圧の基準に沿った内部構造を決める必要があります。また、この段階である程度予想される問題の対策を行うことで、効率的にトランス・コイルの開発・設計を行う事ができます。例えば、通常の巻き方でコイルを巻いた際に、発熱が高くなった場合は、沿面距離を緩和できる三重絶縁線を用いる事で発熱を抑える事ができます。また、ノイズが発生した場合は、結合度を上げる為に三重絶縁線を用いることで、結合度を上げることが可能となり、ノイズを抑えることが可能です。これらをはじめとした適切な対策を行うことで、トランスの効率も向上します。

トランス・コイル開発・設計の流れ⑤:実際の環境で使えるか試験を行う

上記4つの工程が全て終われば、評価試験を行います。まずは、電気的特性及び、トランスの定格負荷時の温度上昇を測定・確認します。お客様より要求のある製品に関しましては、雑音端子電圧、不要輻射の確認を行います。これらの評価試験を通じて、製品が要求される性能を満たしているか確認します。

トランス・コイル開発・設計の流れ⑥:設計の修正を行う

評価試験の結果に基づき、必要に応じて設計の修正を行います。例えば、定格負荷時の温度上昇が見受けられる場合は、巻き線における電流容量を確認し、デューティーの調整(巻き数比の見直し)を行います。また、雑音端子、不要輻射が見受けられる場合は、回路様式にもよりますが結合度を向上させることで雑音端子、不要輻射の対策を行う事が可能です。(LLC回路の場合は、結合度を向上させると良くない。)設計の修正が完了すれば、再度、評価試験を行い、必要に応じて修正を行う作業を繰り返します。

実際に、トランスの巻線構造の見直しにより、電源出力特性の改善を行った一例をご紹介しておりますので、下記よりご覧ください。

>>トランスの巻線構造の見直しによる電源出力特性の改善

まとめ

トランス・コイルの開発・設計には多くのステップがあり、お客様のご要望によって1つ1つ仕様は異なります。そのため、トランス・コイルの開発・設計を行う上で重要となるのは、お客様のご要望を正確に把握する事です。電源開発・設計ソリューションを運営するペック株式会社では、お客様から丁寧にヒアリングを行うことで、ご要望のトランス・コイルの開発・設計を実現します。トランス・コイルの開発・設計をご検討の際は、豊富な実績のある当社までお声がけください。

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