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トランス・コイル設計の豆知識

トランス・コイルの原理・代表的な種類

コイルは、針金や銅線などの導線を螺旋状に巻いた電子部品です。電気回路における素子として用いられるほか、ばねとしても利用されます。コイルの基本的な性質は、電流を流すと磁界が発生することです。また、磁界が変化すると、コイルに電流が流れます。

この性質を利用して、さまざまな回路で役立てられています。使用用途によってコイルは「トランス」や「インダクタ」と呼ばれます。トランスは、電磁誘導作用を利用して、変電所からACアダプタまで電圧変換を行なう所に使われており、現代の電力供給システムにおいて不可欠な電子部品です。当記事では、トランス・コイルの原理や種類について詳しく解説します。

トランス・コイルの原理

トランスは、主に二つのコイルと磁性でできたコアで構成されています。二つのコイルは一次コイルと二次コイルと呼ばれ、一次コイルは電源に、二次コイルは使用する機器や回路に接続されます。入力電圧により一次コイルに交流電流が流れ、コア内の磁場が変化します。一次コイルで発生した磁力は鉄心を介して、二次コイルに電磁誘導を起こし、出力電圧が発生する仕組みです。

そのため、トランスの入力側と出力側の巻き数を調節することで入力電圧と出力電圧の比率を変えることができます。例えば、入力側の巻き数を200ターン、出力側の巻き数を20ターンにする事で、100vの入力電圧を10vの出力電圧にする事ができます。

つまり、一次コイルの巻き数に対して、二次コイルの巻き数が少なくなるほど、出力電圧は小さくなります。また、コイルに使われている銅線の太さを変えることで出力電流を変える事が可能です。加えて、一次コイルと二次コイルは物理的に接触していないため、絶縁が確保されます。これにより、一次側からの過度な電流や電圧が二次側に影響を与えることなく、安全に電力を伝えることができます。

トランス・コイルの種類

コイルの種類

コイルには、平滑用、アクティブフィルタ用、ノイズフィルタ用、電源ライン用などの種類があり、それぞれの回路で特定の機能を果たします。代表的なコイルの種類をご紹介します。

チョークコイル

チョークコイルは、電気回路において重要な役割を果たすインダクタの一種で、特定の用途に特化しています。その主な機能は、直流や目的の周波数より低い周波数の電流をスムーズに通過させつつ、目的の周波数より高い周波数の電流を効果的に阻止することです。これにより、電気信号を整えたり、ノイズを減少させるのに役立ちます。

コモンモード/ノーマルモードコイル

コモンモード/ノーマルモードコイルはそれぞれコモンモードノイズ対策に使用される電子部品です。主に、大電流が流れる電源で使用されます。コモンモード/ノーマルモードコイルで代表的なコイルがラインフィルターと呼ばれるものです。

トランスの種類

スイッチング電源用トランス(高周波トランス)

スイッチング電源用トランスは高周波トランスの種類の一つです。電源トランスの周波数が50Hzまたは60Hzで動作するのに対して、スイッチング電源用トランスは、数十kHzから1MHzの周波数で動作するように作られています。スイッチング電源用トランス以外にもその他の高周波トランスでは、数GHzの周波数で動作するものもあります。スイッチング電源用トランスは、交流の電圧を直流に変換する装置で、高効率と軽量/小型化が可能となります。

大型トランス/リアクトル

容量が500kVAを超えるトランスを大型トランスと言います。大容量トランスの構造の一つにプレーナー型トランスがあります。プレーナー型トランスは主に、サーバー用電源、大型産業機器、電気自動車用急速充電スタンド、溶接機、半導体製造装置などの出力電源量が大きい製品に多く用いられるトランスです。プレーナー型トランスは、低背かつ、薄型のトランスであるため、ヒートシンクの接地面積が広くなることで、放熱性が高くなります。その為、高周波での使用や、スペースが限られている場合での使用に適しているトランスです。

カレントトランス

カレントトランスとは、回路に流れる電流の検出に用いられるトランスで電流を電圧に変換します。一次コイルに大電流が流れると、一次コイルで発生した磁力は鉄心を介して、二次コイルに電磁誘導を起こし、一次側の電流を二次側で計測しやすい電圧に変換します。カレントトランスも、その他のトランスと同様に一次コイルと二次コイルの巻き数比で二次側出力電圧が変化します。

まとめ

トランス・コイルは、変電所からACアダプタまで電圧変換を行なう様々な所で使われており、用途・目的に応じて使用するトランス・コイルが異なります。また、適切なトランス・コイルを使用することで電子機器の高効率化・小型化を実現することが可能です。

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