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電源設計の豆知識

PFC(力率改善)回路における主要部品の選定方法

力率改善回路とは、力率を1に近づけることを目的としています。これは、位相を0に近づける事で電圧と電流の位相差をなくし、皮相電力を有効電力に近づける事を意味します。また、高調波電流を抑制し、国際規格IEC61000-3-2によりクラス分けおよび最大許容高調波電流が規定されていることから該当する電子機器は基本的にPFC(力率改善回路)を搭載する必要があります。

基本的な動作は、昇圧回路と同様なのですが、昇圧回路(チョッパー方式)は、入力がDC入力に対し、PFC(力率改善回路)は、交流/脈流入力となります。基本的な回路は、次のとおりです。

(※赤点線部分の回路構成は、昇圧回路と同様の構成であることから、入力電圧より出力電圧を高く設定する必要があります。)

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PFC(力率改善回路)回路の動作モード

PFC回路(力率改善回路)は動作モードとしては、電流連続モード(CCMモード)、電流不連続モード(DCMモード)、臨界モード(BCMモード)の種類があります。各モードの違いは、インダクタ(コイル)の使用状態で区別できます。

・電流連続モード(CCMモード):インダクタ電流が連続で流れている状態です。
・電流不連続モード(DCMモード) :インダクタ電流が不連続となる状態です。
・臨界モード(BCMモード):インダクタ電流が0Aになった時、スイッチ素子をONにしてインダクタに続けて電流を流す状態です。

各モードを比較したものは、次のとおりです。

電流連続モード (CCMモード)電流臨界モード (BCMモード)電流不連続モード (DCMモード)
概要インダクタ電流ILが”0A”とならないインダクタ電流ILが一時だけ”0A”となるインダクタ電流ILが”0A”となる期間がある
出力電力大電力 200W以上小電力 200W以下小電力 200W以下
駆動周波数固定(可変も可能)常に変化している固定(可変も可能)
オン時間常に変化している一定一定
インダクタンス値
効率×
ノイズ×(ダイオードの逆回復電流によってノイズが悪化する)

主要部品の選定方法

入出力仕様より各部品の電流値や電圧値など計算によって導き出せますが、採用する制御用ICのアプリケーションノートまたは、マニュアルにインダクタンスの計算からスイッチ素子などの選定方法が掲載されているのが殆どですので、そちらをベースに部品の選定を行うことをお薦めします。

また、ICメーカーに問い合わせる事でExcelでの計算シートを貰えるところもありますので、その場合入出力仕様を当てはめるだけで、選定用の数値が分ることになります。

(※実動作において上手く動作しない場合、メーカーに問い合わせをかける場合もあります。その時の独自のやり方で算出している場合、メーカーより説明を求められたり、アプリケーションノートまたは、マニュアルに従って算出を再度行うように要求されるケースがあります。)

注意事項

メーカーのアプリケーションノートまたは、マニュアルによる算出値には、ディレーティングは、含まれていませんので、計算結果より、ディレーティングを考慮する必要があります。また、スイッチ素子においては、高電圧をスイッチする事で、低圧と比べ大きなサージ電圧も発生する事から、サージ電圧に対するマージンも取る必要がありますので選定時には、注意して下さい。

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いかがでしたでしょうか。今回は、PFC(力率改善)回路における主要部品の選定方法をご紹介しました。電源開発・設計ソリューションを運営するペックでは、小ロットからカスタム電源の開発・設計を承っております。さらには、開発・設計のみならず、製造・評価まで一貫対応しており、これまで幅広いお客様のご要望を実現してまいりました。カスタム電源開発・設計に関するご依頼がございましたら、お気軽にご相談ください。

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