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トランス・コイル設計の豆知識

大電流リアクトル・コイルの特徴と種類

大電流リアクトルとは、インダクタンス(誘導性)を持つ装置で、電流や電圧の変動を制御するために使用されます。電力システムの安定化やフィルタリング、電圧制御などに役立ちます。当社では、その中でも電流が数十A以上のようなコイルをリアクトルを大電流リアクトルとしております。

大電流リアクトルの役割と特徴

大電流リアクトルの役割は主に下記の3つに分類されます。

①脈動の平滑化

大電流が流れる回路では、電流が脈動しやすく、この脈動はシステムにとって有害です。大電流リアクトルは、この脈動を平滑化するために使われます。具体的には、リアクトルが電流の急激な変動を吸収し、流れる電流をより安定したものにします。これにより、直流回路やインバータ回路などにおいて、電流が一定に保たれ、機器の安定した動作が確保されます。

②高調波抑制

高調波とは、電力システム内で発生する基本周波数以外の成分で、システムや設備に悪影響を及ぼすことがあります。大電流リアクトルは、これらの高調波成分を抑制する役割を果たします。リアクトルが持つインダクタンスは、高調波の周波数成分に対して高いインピーダンスを持つため、高調波の流れを効果的に制限します。これにより、システム全体の電力品質が向上し、機器の誤動作や寿命短縮を防ぐことができます。

③電圧の安定化

大電流リアクトルは、電力システム内での電圧の変動を抑えるために使用されます。電力の需要が急激に変動する場合、電圧が不安定になることがあります。リアクトルはそのインダクタンスによって電流の急激な変化を抑え、結果として電圧の安定化に寄与します。これにより、電圧の過剰な上昇や低下を防ぎ、機器やシステム全体を保護します。

大電流リアクトルの種類

ACリアクトル

ACリアクトルは、交流電力システム内で突入電流の保護や高周波の抑制および力率改善、電圧の変動吸収、さらには電流と電圧の位相差を調整をするインダクタンス素子です。インバータの出力波形を平滑化し、モーターや他の負荷機器の動作を安定させるために使用され、システムの信頼性と効率を向上させる重要な役割を果たします。

DCリアクトル

DCリアクトルは、直流電力システムで電流の平滑化を目的として使用されるインダクタンス素子で、インバータやコンバータの直流側に設置され、電流の変動を抑え、機器の安定動作と電力品質の向上に寄与します。また、直流リンクコンデンサへの過大な電流を防ぐことで、コンデンサの寿命延長にも貢献します。

直列リアクトル

直列リアクトルは、電力システムにおいて、電流制限や高調波抑制、突入電流の抑制などを目的として、電流が流れる回路に直列に接続されるインダクタンス素子です。主に変圧器やコンデンサバンクの保護に使われ、電圧の急激な変動を抑え、電力システムの安定性を向上させます。また、高調波を減少させることで、電力品質の向上にも寄与します。

高周波リアクトル

高周波リアクトルは、高周波回路やパワーエレクトロニクスで使用され、ノイズフィルタリング、電力変換、共振回路など、力率改善回路用のコイル(リアクトル)として利用されます。高周波リアクトルは、磁気コアや巻線の設計が高周波に最適化されており、機器の動作を安定させ、ノイズの低減や電力変換効率の向上に寄与します。

当社のリアクトルの設計事例

HEV/PHEV昇圧リアクトル

大電流リアクトル・コイルの特徴と種類 | 電源開発・設計ソリューション

HEV(ハイブリッド電気車)およびPHEV(プラグインハイブリッド電気車)用昇圧リアクトルの開発事例です。
コイルには、特殊絶縁強化銅線を採用することで、ヒートシンクとの絶縁距離を限りなくゼロに近づけることが可能となりました。これにより、放熱性が大幅に向上し、小型化、軽量化を実現しました。さらに、モールド剤の使用量も削減でき、コスト削減に寄与しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。電源開発・設計ソリューションを運営するペック株式会社ではリアクトルの多くの提案・製造実績がございます。

当社が製造するリアクトルの特徴として熱設計構造における放熱設計が可能であり、お客様と密にお打ち合わせを行う事でお客様のニーズに合わせて、既製品ではなく、半カスタム品を製作する事が出来ることで放熱性が大幅に向上し、小型化、軽量化を可能にします。

トランス・コイルの設計・製造にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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