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電源設計の豆知識

熱設計の壁を越える!カスタム電源における放熱対策の最前線

カスタム電源の性能と信頼性は、熱設計の質に大きく左右されます。電子部品は動作時に必ず熱を発し、この熱を効率的に排出しなければ、部品の劣化や寿命の低下、最悪の場合はシステムの誤動作や故障に繋がります。本記事では、カスタム電源における放熱対策の最前線として、冷却方式の選定から基板設計まで、多角的な対策を解説します。

冷却方式による放熱

まずは基板レベルの対策ではなく、製品全体の冷却方式を選定することを行うことが重要です。

代表的な冷却方式には「自然空冷」と「強制空冷」があります。

  • 自然空冷方式: ファンなどの可動部品を使わず、ヒートシンクや筐体の表面積を利用して、自然な空気の対流のみで放熱する方式です。動作音がなく信頼性が高い反面、十分な放熱面積が必要なため、筐体が大きくなる傾向があります。
  • 強制空冷方式: ファンを用いて強制的に空気を送り込み、熱を排出する方式です。高い冷却能力が得られるため、電源の小型化・高密度化に有利です。 ただし、ファンの動作音や寿命、メンテナンス性を考慮する必要があります。

この他にも、大規模なシステムでは「液冷方式」などが採用されることもあります。 どの冷却方式を選択するかは、電源の発熱量、許容される製品サイズ、コスト、静音性、メンテナンス性といった様々な要求仕様を総合的に検討して決定する必要があります。

>>カスタム電源開発・設計における冷却方式の選定ポイント

部品レイアウトの最適化による放熱

部品の配置を工夫することも、放熱設計の重要な要素です。

局部に発熱部品が集まらないようにする

自然空冷を前提とした場合、特定のエリアに発熱部品が密集してしまうと、その部分だけが極端な高温状態(ホットスポット)となり、放熱が追いつかなくなります。 発熱源となる部品は、基板上に均等に分散させることで、熱の集中を避け、全体の温度上昇を抑制することができます。

(※ただし、強制空冷の場合は風の通り道に発熱部品を集め、熱を排出することが重要です。つまり、自然空冷と強制空冷では部品レイアウトの考え方が異なります。)

取り付け方法を考慮し、熱い部品を極力上に持っていく

空気は暖められると軽くなり上昇する性質(自然対流)があります。 この原理を考慮し、電源ユニット内では発熱量の大きい部品をできるだけ上部に配置するのがセオリーです。 もし発熱部品を下部に置くと、その熱が上昇して上にある他の部品を温めてしまい、予期せぬ温度上昇を引き起こす原因となります。

発熱部品と非発熱部品の配置で自然対流を促す

部品の配置によって、意図的に空気の流れ(エアフロー)の道筋を作ることが可能です。 例えば、発熱する部品群と、あまり発熱しない部品群を分けて配置することで、温度差による自然対流を促進し、冷却効果を高めることができます。

パターン設計による放熱

基板の銅箔パターンは、電気信号を伝えるだけでなく、熱を拡散させる重要な役割も担います。

発熱部品の周りのパターン幅を広げる

トランジスタやダイオードなど、特に発熱の大きい部品の周辺では、接続される銅箔パターン(ランド)の面積を可能な限り広げることが基本です。パターン幅を広げることで熱抵抗が下がり、熱が一点に集中するのを防ぎ、基板全体へ効率的に熱を拡散させることができます。

発熱部位へスルーホールを設ける

発熱部品の真下や近傍に多数のスルーホール(サーマルビア)を設けることは、非常に有効な放熱手法です。 このスルーホールを通じて、部品から発生した熱を基板の裏面や、内層に設けられたGND・電源プレーンへと効率的に逃がすことができます。 これにより、放熱経路が立体的に確保され、基板全体での放熱能力が大幅に向上します。

まとめ

適切な電源仕様書は、電源メーカーとの円滑なコミュニケーションを可能にし、プロジェクトを成功に導くための羅針盤です。特に「入出力仕様(ピーク電流)」「サイズ」「要求規格」の3点は、設計の根幹に関わる最重要項目です。これらのポイントを押さえて仕様を伝えることで、手戻りのないスムーズな製品開発を実現しましょう。

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