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電源設計の豆知識

スイッチングノイズ対策を実現するスナバ回路

スナバ回路とは

スナバ回路とは、主にスイッチング電源のトランス1次側巻線間に接続されているコンデンサや抵抗/ダイオードなどで構成されている回路のことです。スイッチング回路でスイッチング素子が常時ON/OFF繰り返す動作において、大きなサージ電圧(スパイクノイズ)が発生します。このサージ電圧がスイッチング素子(FETなど)に印加されることになります。

サージ電圧が耐圧を超えた場合、スイッチング素子(FETなど)が破損する可能性があるため、スナバ回路により、サージのピーク電圧を抑制することが可能です。

スナバ回路のメリット(スナバ回路による効果)

スナバ回路のメリット・効果は以下の通りです。

①スイッチング素子(FET/ダイオードなど)の破損に対する保護

②雑音端子/不要輻射ノイズの改善

③電源出力のリップルノイズ(スパイクノイズ)の改善

④単回路による多出力電源におけるクロスレギュレーションでの出力変動の改善

スナバ回路のデメリット

スナバ回路は、大きなサージ電圧(スパイクノイズ)を抑制する回路であり、抑制された部分は、損失(熱損失)に変換されます。そのため、スナバ回路の効きを良くすればするほど損失が大きくなり、電源ユニットの性能の一つの指標でもある効率の低下にも繋がります。

スナバ回路種類

スナバ回路の具体的な種類としては下記が挙げられます。

・DCRスナバ(ダイオード/コンデンサ/抵抗の構成):トランス1次側メイン巻線間

CRスナバ(コンデンサ/抵抗の構成):トランス1次側メイン巻線間及びスイッチング素子(FET/ダイオードなど)の両端(※回路方式によっては、トランス2次側巻線間にも使用する場合があります。)

・Cスナバ(コンデンサのみ):スイッチング素子(FET/ダイオードなど)の両端

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スナバ回路活用による効果例①:雑音端子/不要輻射ノイズの改善

上述したサージ電圧は、雑音端子や不要輻射ノイズとしても現れるため、抑え込みたいものであり、その一つの方法としてスナバ回路による対応があります。但し、スナバ回路は、サージ電圧のピーク電圧を抑制する代償として熱損失に変換するため、電源効率を低下させる事となりますので無闇にスナバ回路でピーク電圧を抑え込むことは、お勧めできません。

(※トランスの結合度や他の方法でピーク電圧を抑え込みながら、『どうしても、あと少し』の部分で、スナバ回路の効きを良くして対応する方が、電源効率を大きく下げずに対応できることとなります。)

スナバ回路活用による効果例②:電源出力のリップルノイズ(スパイクノイズ)の改善

電源特性の指標の一つでもある出力リップルノイズ(スパイクノイズ)においてもスナバ回路は、有効であり、回路上にスナバ回路が入っていない場合は、回路の追加、既に挿入されている場合は、効きの強化により出力リップルノイズ(スパイクノイズ)の改善ができます。

スナバ回路活用による効果例③:クロスレギュレーションでの出力変動の改善

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スナバ回路は、多出力電源(※一つのトランスで複数の出力を生成すような回路構成で、且つメイン巻線のみ電圧制御を行い、他の出力はノンレギュレーション方式)において、1次側メインの発振波形のピーク電圧や、そのヒゲの幅などが、各出力の負荷条件において変化することで、お互いの出力電圧に影響を与える場合があります。(※電源特性の項目でいう『クロスレギュレーション』がその特性に当たります。)

具体的な事例としてお伝えすると、上記の波形はクロスレギュレーションの改善波形です。改善前は、負荷条件によってGNDから6.24V浮き上がる状態であったものを改善後は、2.0V程度の浮きまでに改善できており、クロスレギュレーションが大きく緩和できています。(※具体的にフライバック方式のため、1次側メイン波形のスナバを強化しています。)

1次側発振波形がトランスの巻数比に応じて2次側に電圧変換されますので基本、同じ形の波形が現れます。2次側に出てくる波形は、回路方式により、反転/正転します。そのため、1次側のサージ電圧(スパイクノイズ)量によっては、2次側巻線に発生する電圧を変化させる事があります。結果として、他の出力の負荷条件によって出力電圧が変化するなどクロスレギュレーション特性が悪くなる事があります。

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スナバ回路は、多岐の問題にわたり効果がありますが、熱損失が増えることで効率の低下に繋がります。高効率を目指す電源を開発するには、それぞれの問題に対し違うアプローチで対応する必要があります。そのため現在では、『苦肉の策』として考えることの方が、良いといえます。

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